ある吹奏楽部員の末路

昼寝猫 on Twitter: "クラシック音楽とかいわゆる古典て家庭の文化資本依存だろ?多くの場合、細民や窮民はやれない。細民や窮民はええ格好してホ−ルで交響楽なんて聞けない。サプライサイドも受益層も中産階級以上。存在がすでに「階層」を区分してる側面がある。"

吹奏楽部がクラシック文化の下支えになっているとは思えないんだよなあ。 <a href="https://togetter.com/li/1256625" target="_blank" rel="noopener nofollow">https://togetter.com/li/1256625</a>

2019/12/31 12:49

吹奏楽部がクラシック文化の下支えになっているとは思えないんだよなあ。 https://togetter.com/li/1256625 - whkrのコメント / はてなブックマーク


 このエントリ、コメントそのリンクを読んで、なんか書きたくなったので書きます。

 私は高校時代吹奏楽部でした。全国大会に行ってます。毎年のように全国に行くいわゆる強豪校でした。全国の演奏はCDなるんですけど、そのライナーノーツに名前とか載るんですよね、たしか。処分しちゃっていま手元にCDがないのでうろ覚えなんですが……。まぁとにかく、当時、販売されるものに自分の名前が載っていて、有名人にでもなったみたいで妙にうれしかったなぁという記憶があります。いまは黒歴史ですが……。

 で、ですよ、私も高校卒業で吹奏楽をやめた口です。まぁ吹奏楽部の活動はなんにもキャリアパスになりませんでしたね。学校も部活漬けで勉強もまったくしませんでしたので、大学もどこにも受かりませんでしたし。だって練習は盆も正月もまったく休みなく続くし、夜の十時近くまで練習してたこともありましたから。社会人になったいま振り返ると、なんてブラックな環境なんだと思いますね。過労死するレベルですよ。それでも、若さゆえか、しんどかった思い出はありません。若いってすごいね。

 でも、音楽、とくにクラシックは好きになりました――というより趣味として嗜むようにはなりました。やっぱりね、吹奏楽やるやつにはクラシックが好きなやつがいて、そいつがいろいろと教えてくれるんですよ。で、僕はそいつにつられるようにクラシックを聴くようになった。で、ずっとクラシックや音楽漬けだと、人間って順応しちゃうんですよ。つまり音楽を聴くような人間になってしまった。

 吹奏楽部に入ったことは後悔しています。だって僕の人生が狂ったわけですからね。そもそも、吹奏楽部に興味があって入ったわけじゃないんですよね。入学して初日に帰ろうとしたら、部活勧誘の人にカバンを持たれて見学だけってこと手ずるずると引きずり込まれた。そしたらおなじクラスにも吹奏楽をやるやつがいて、誰も友達いないさみしさもあったからなんとなく入ってみることにしただけなんだから。

 そうそうキャリアパスの話ね。で、ある吹奏楽部員の卒業後ですが、いわゆるフリーターってやつですね。数年バイト生活をしました。でもね、そのあいだずっと、引きずってるんですよ音楽を。なんか音楽関係の仕事に就きたいなって。せっかくあんだけ音楽漬けの生活をしてたからねって。でもね、たんに吹奏楽やってたからって音楽関係の仕事に就けるわけじゃない。なれるやつは、金持ってて自分で音楽の研鑽が積めるやつ。そんなやついましたね同級生にも。いま音楽家やってますよそいつ。あと音大行って高校の音楽教師になったやつもいる。そいつはいま吹奏楽部の顧問やって全国行ったりしてるよ。

 私みたいなもともと音楽にあまり興味がなくて貧乏な家庭の子供は、よっぽどの才能がなければ、音楽関係のキャリアパスは築けない。いや、一応かろうじて音楽業界的な会社に就職したことはありましたよ。でも、吹奏楽部の活動が役に立ったってことはなかったかな。吹奏楽部の活動は、ただ音楽の呪縛をかけられただけって感じ。自分の将来への視野が狭くなった気がします。ほんとうは、私は違うことが好きだったんじゃないかって……いや、たしかに音楽ではないものに自分の興味はあったんですよ。でも、環境がそれを曲げてしまった。そんな感じがします。うーん、まぁこれは言い訳かな。本当に興味があるならやってるもんね。私の本性が怠け者なだけかもしれません。

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